生産工程の分析監視
ICP分析
ICP分析は、各ラインで使用されている薬品また排水に対して行います。
この分析を行うことで、各試料にどのような元素(主に金属)が含まれているのか、
またそれらがどのくらい含まれているのかを知ることができます。
その結果をもとに、薬品が適切な濃度に維持されているかや、濃度や含有物に
異常がみられないかといった確認を行い、生産に不具合が生じないようにしています。
【原理】
試料にプラズマによるエネルギーが与えられることで、試料中の元素が高いエネルギーをもつ状態になります。
その元素が低いエネルギーを持つ状態へ移り変わる際に放出される光を分析します。
特徴として、多元素を同時に測定可能である点が挙げられます。
原子吸光分析
原子吸光分析は、ICP分析と同様に、試料中に含まれる金属元素をはじめとする各種元素を求める際に使用します。
ICPとの大きな違いとして、同時測定可能な元素の数が挙げられます。
ICPでは多元素が測定可能であるのに対して、原子吸光分析では単一元素を測定します。
多数の元素を測定することはできませんが、これらの装置を用いた分析は短時間で済むこと、
また装置の準備が比較的簡単であるため、急な分析にも対応することが可能です。
分光光度計
工場排水の環境分析やめっき添加剤の濃度監視など、波長スキャンによるスペクトラム測定に対応します。
pH計
各ラインで使用される薬品、または排水のpHを測定します。
pHとは…水溶液の性質(酸性、中性、アルカリ性)を示す指針となる値です。
pH=7を中性として、pHの値が7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性となります。
ハルセル試験
専用の水槽を使いめっきをすることで、外観が適切であるかどうかの確認を行います。
各ラインで使用されているめっき液の外観確認のほかに、新薬品導入の際に条件検討や外観調査のために行われます。
【原理】
試験用に作られた台形型水槽を用いてめっきをつけ、析出状態の観察を行います。
陰極を台形の斜めの部分に設置することで、陽極との極間距離が異なる状態を連続的に作り出すことができるため、電流密度の違いによる析出状態の変化を観察することができます。
スパイラル応力測定
めっきが析出すると、材料への負荷が生じます。この負荷はめっきの種類に応じて異なり、 材料が引っ張られる力と圧縮される2つの力に大別されます。この材料にかかる力を内部応力と呼びます。 内部応力により、めっきの割れや素材の変形が生じる可能性があるため、どれほどの力が加わっているかを知ることが求められます。
【試験方法】
応力測定器に取り付けられたバネにめっきを行い、時間ごとの内部応力の変化を観測します。
糖度計、滴定分析
1.糖度計
試料の濃度を簡易的に測定する際に用いられます。
2.滴定分析
各ラインで使用されている薬品の金属濃度や酸やアルカリの濃度を分析するために行われます。 主に以下の4つの滴定方法を用いて分析をしています。
- 中和滴定
- キレート滴定
- 酸化還元滴定
- 沈殿滴定